水彩教室と水彩について一言
私の水彩教室は、開始以来3年数ヶ月、現在は月2回開催しております。そのうち1
回を選択して参加している生徒さんが多いのですが、中には2回参加している生徒さ
んもおります。冬場以外は戸外でのスケッチが基本、冬場と天候が悪い日は室内で教
材を使っての教室となります。生徒さんは新旧入り交じっていて、北杜市民が多い中、
東京や甲府界隈から来られている方もありで、みんな熱心な反面、和気藹々と楽しく
描くことを念頭に教室を続けています。その成果の一端を皆様にご覧いただきたい
と、今回初の教室展を開催する運びとなりました。
私の水彩教室で言う水彩とは、透明水彩のことです。透明水彩は誰でも取っつきや
すい反面、表現の幅とか奥行きを持った表現技法です。その特性は、水と絵の具と紙
を使うが故の様々な効果と制約にあり、まさに透明水彩の難しさもそこにあると言える
でしょう。紙は彩色した色を吸い取って綺麗に広げてくれたり発色してくれます。その透
明感を以て透明水彩と呼ばれ、水と絵の具のさじ加減とか塗り重ねの時間管理如何
で、絵の表情を様々に変えてくれる魅力を有しています。しかしその一方で、一度吸い
取った色は容易には取り除けないという頑固さを併せ持っています。従って、色を濃く
する分には、塗り重ねて描き込んだり修正したりはできるのですが、その逆となるとお
手上げとなるリスクをはらんでいるのです。薄くしたくても後戻りはできないという点が
厄介で、そうした失敗に陥らないための彩色の方法とか手順は、透明水彩に独特のも
のがあります。しかしそれでも、計算通りに行かない偶発性とかスリリングなところが
あって、そこにまた透明水彩の魔力が宿っていると言えるでしょうか。描き手は、そん
な透明水彩の世界で四苦八苦し、ときに満足感を得、少しでもその世界を広げようと
もがいているわけです。
さて、能書きは別として、どうか温かい目で、私たちのもがきっ振りをご覧いただきた
いと思います。本日はご来場いただき、まことにありがとうございました。
2011年11月 栗原成和
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