山麓絵画館



2013年個展メモリアルコーナー

11月27日〜12月3日
京橋「ギャラリーび〜た」における出展作
〜本HP未掲載の作品(但し今回出版の画集には掲載)を展示しました〜

「一言ご挨拶」はこちらから



                                    個人蔵
「須玉川 早春」

Fabriano Extra White 中目 F10相当
2013年5月下旬 北杜市須玉町小倉

須玉川の河原には、芽吹き時の林がまるで雲がたなびくように広がっている。その柔らかな様を
画面一杯に描き出そうと試みた。川の流れは対照的にくっきりと表現して、画面を引き締めてみた。








「山麓春めく」

Arches 荒目 F8相当
2013年4月 北杜市高根町浅川

何度も通っては絵にしている浅川の集落、春の図である。晴れ我多々空に残雪の八ヶ岳が横たわる。
春先のこうしたクリアーな光景にはなかなか巡り会えないもので、これも通い詰めたせいかである。








「田植え前〜甲斐駒春景」

Fabriano Extra White 中目 F10相当)
20135月 北杜市長坂町小荒間

田圃が静止した鏡となる僅から機会を捉えて絵にした。代掻きを終えて暫くは寝かしておくいっとき、
農家の人たちも束の間の小康を得て風景全体がのんびりと春を謳歌している風であった。









「初夏の釜無川」

Fabriano Extra White 中目 F10相当
2013年6月下旬 韮崎地円野町

流れの涼しさが心地よい季節、釜無川に架かる橋の上から涼味を運ぶ川の表情を捉えて描いた。
遠く八ヶ岳がかすんで見え、瀬音が絶えないいっときが気持ちよかった。








「小川村の棚田」

Arches 荒目 F8相当
2012年5月 長野県 小川村

この絵は、「水彩で描く美しい日本〜輝ける中部」に帰港したうちの一作。小川村の牧歌的な風景を代表
するこの一角は、峠道の東に入った公園の外れから見下ろしたもの。以前にもスケッチしていた光景である。








「水の安曇野」

Arches 荒目 F10相当
2013年5月 長野県 安曇野市

5月の安曇野は訪れるのが楽しみだ。運が良ければ水田が鏡となり、常念岳がその姿を映している
訪れたこの日は、微風ではあったが代掻きの痕とアルプスの陰が微妙に入り混じって印象的であった。








「鎌池 紅葉舞台U」

Arches荒目 F8相当
2011年10月下旬 長野県南小谷村 雨飾山

それはさながら紅葉の舞台のようであった。10月下旬に訪れた雨飾山は紅葉の盛り、中でもここ鎌池は
絶好の紅葉のスポットだ。最大限装いを凝らした木々は、まるで舞台上で演技をしているようであった。








「ブナ一本」

Sanders Water Ford Natural F8相当
2011年10月 長野県南小谷村 雨飾山

上の絵と同じ雨飾山のブナ林で出会った黄葉のブナ一本。全身を逆光にさらして
立つその姿が印象的で、冬を控えた最後の輝きを放っているようであった。






<この個展に展示した以下のおわら作品は「おわら風の盆」館に移動しました。



















一言ご挨拶

ご来場ありがとうございます。いつも思うのですが、個展といういわば作家が身
勝手に設けた機会に足をお運びいただき、感謝の念に絶えません。

私が小淵沢に移住してからもう9年目に突入、この間私は相も変わらずに八ヶ岳
界隈の風景を描き続けています。と言いましても、当会場でご覧いただけますよ
うに、ときとしてお隣の信州に足を伸ばし、海への憧憬が募って海辺まで遠征し
「おわら風の盆」への未練も断ち切れず・・・と、私の絵心は結構あちこちに飛び
火しているのも事実です。私の知り合いには、ある田舎を本拠地として5年間風
景を描き続け、"もうここは卒業"と言って都会に退散してしまった御仁がいまし
た。しかし世間には一生富士山をモチーフとして追い求めている画家もいます
し、生涯最上川を描き続けた画家もいます。そうした先達を引き合いに出すのは
憚れるのですが、私には八ヶ岳界隈を一生のフィールドと決め込むほどの覚悟
があるわけでなく、かと言って卒業などと簡単に見切ってしまうほどの性急さが
あるわけでもありません。風景はそこに注ぐ眼差し如何で、如何様にも姿を変
え、奥行きを深めてくれるものだと、年々思いを強くしてはいます。それに・・・た
まに当地と異なる風土を感じながら絵を描く楽しみはまた格別なものです。つま
り何を言いたいかといえば、適当な浮気心もまた絵心を触発しリフレッシュさせて
くれるものではないかということです。

もう一つ書き加えますと、年とともに感興を覚える対象とか、描きたいと思う風景
が変わってきているという点です。特にここ2、3年、私は山間の集落に目が向く
ようになってきて、今回の展示作でも相当数がこうした集落をモチーフとしたもの
となっています。遡って移住当初は山や森など、自然一辺倒の風景ばかりを追
求していたことを思うと、隔世の感もあります。自然の中に宿る生活の温もりと
か、日本の原風景の持つ衰退美のようなものが、いつの間にか私を大きく捉え
るようになってきたのは、年齢による心境変化なのか、或いは例の浮気心故な
のか。いずれの要因であるにしても、それは絵心を活性化させてくれる大事な要
素と勝手に解釈し、これからも面白く描き続けてゆければと思っています。

最後までお読み頂きありがとうございました。引き続きごゆっくりご覧下さい。

2013年11月 栗原成和




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