標高1200bくらいのところにある八ヶ岳牧場からは、南アルプスの全景が広がって気持ちいい。この日は朝から
快晴で、眼下の山裾には霧が立ちこめていた。甲斐駒と北岳を入れ、光線の具合が変わらぬうちにと素早くスケッチ。
途中、夫婦連れが通りがかって、絵を覗いてくれた。人っ子一人いないこんな場所も、二人の散歩コースだという。
(2月22日 長坂町の八ヶ岳牧場で)
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個人蔵
降雪を期待して原村へ。このスケッチは、下の絵とほぼ同じ場所で描いたものだが、この日は見渡す限り
台地が新雪に覆われ、農道を走るとクルマのわだちがシュプールのように残った。(2月2日 原村にて)
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個人蔵
よく晴れ渡った大晦日の午後、久しぶりに訪れた原村では、所々残雪が凍り付いた大地の先に、白い八ヶ岳の
全てが勢揃いして迎えてくれた。左は横だけから、右は権現岳までを入れてスケッチしてみた。陽が段々傾いて、
陰影を徐々に深くしていくそんな姿は、眺めているだけで幸せな気分になってくるのであった。
(大晦日 原村にて)
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甲斐駒は南アルプスのアクセントであるばかりか、我々山麓に棲む者にとっても日常生活のひとつの目印のようでもある。
複雑な谷筋や稜線の絡む山容は、天気や見る時間によって、その表情ががらりと変わり、スケッチで詳細に捉えようと
すると必ず時間切れとなって終わる。下の2点はそんなデッサンのみで終わった例。(いずれも12月中〜下旬 長坂から)
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個人蔵
八ヶ岳山麓には柿の木が多く、大概は民家の庭先や田畑の一角にあって、今頃は赤味を帯びて熟れている。
そんな柿の木のいい姿と、しかもそれが八ヶ岳を背景に植わっている所となると、これがなかなか見つからない。
このスケッチは、漸く発見した好条件の場所で、嬉しくなって直ぐさま描いた一作である。 (11月中旬 長坂にて)
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ほぼ真正面から朝の陽を受けた八ヶ岳。上の原村からの風景が西側から見た姿なら、こちらは
東側から見た姿。清里に抜ける大橋の袂は、身近に八ヶ岳の全容を捉えることのできる絶好の
場所で、早朝からカメラをt手にした人をいつも見かける。(11月はじめ 高根町清里にて)
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高原にある八ヶ岳中央農大からは、広い構内の奥に八ヶ岳連峰が屏風のように連なって見える。
乳牛が草を食んでいて、人影といえばたまに通りかかる学生だけで、実にのんびりと開放的な空間だ。
山の斜面はカラマツの黄葉に彩られていて、全体としてはこんな具合に塗り込めるしかなかった。
(11月はじめ 長野県原村にて)
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冷え込むと空気が澄んで、山がよく見えるようになる。10月末の朝、下見をしておいた場所
に直行して朝日を浴びた八ヶ岳を描いてみた。稲の刈り入れもすっかり片づき、緩い傾斜地
の野菜畑には、脇の森の影が長く尾を引いていた。(11月はじめ 小淵沢にて)
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八ヶ岳は見る角度によって著しく姿を変える。やはり、主峰の赤岳が見えると引き締まり、これが隠れて
しまう真南からだと、やや凡庸な山容となってしまう。秋晴れの朝、長坂の田園地帯に行くと、赤岳は
やや雲をかぶっていたが、秋の陽射しを浴びて悠揚迫らぬ風貌を見せていた。(長坂にて 10月下旬)
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日暮れが早くなったある日の夕刻、スケッチの下見でいい場所を探して動き回っていると、影絵のよう
な南アルプスがが上空の雲と溶けあった素晴らしい光景に出会うことができた。暮れなずんでいく
一瞬を切り取ろうと、急いでスケッチブックを取りだして描いてみた。(小淵沢にて 2005年10月中旬)
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10月の半ば、曇り空や雨の日が続く鬱陶しい日が続いたある日の午後、漸く空の一角から雲が切れ、
甲斐駒の頭が姿を現した。山麓では稲の刈り入れが盛んで、秋の気配をいよいよ濃くしていくようだ。
(長坂にて 2005年10月中旬)
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個人蔵
小淵沢の役所でもらったパンフレットの写真に惹かれて、それがどこなのか随分と探し回ってついに発見。
この絵のように、甲斐駒を背景にして走る開けた場所は、小海線が大きくループを描いて小淵沢駅に向かう
この場所でしかない。朝、スケッチをしていると、2両編成の小海線がゴトゴトと計ったように走り抜けてくれた。
(小淵沢にて 2005年10月上旬)
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甲斐駒ヶ岳はいつも八ヶ岳南麓風景の主役
である。ススキの穂が白くなり始めた9月初め、
山々はまだ夏の名残を留めて霞んだ大気に覆
われていることが多いが、この日は雲の切れ目
がから山容が姿を現してくれた。 (長坂にて
2005年9月初旬)
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